特別な教育的ニーズのある様々な児童・生徒に寄り添い、一人ひとりを育む教育『通級』を知ろう!

ライブ5時 いまドキッ!
子どもの可能性を広げる「通級」について紹介します。
岡山県北・奈義町立奈義小学校です。
教室で友達と将棋をさす少年、新城円樹くん。彼には学習の困難さがあります。

(担任 上原国昭 教諭)
大きく2つ、書くこと、自分の考えをまとめて表現すること

新城くんの書いたノートです。字が下手なのではなく書くことに困難があることがうかがわれます。

(新城くんの母)
発達性協調運動障害っていう体の連動運動ができない障害なんですけど、字を書くときは目と手の連動の動きができないと書けないんですけど、それができないから書けないっていうことで、いわゆるLD(学習障害)ですかと、今かかってる先生に聞いたら「そうです」って言われたのが5年生始まる前ですかね。

そんな彼は、ある学びの場で困難さの改善に挑んでいます。
津山市にある「通級指導教室」です。文字をえんぴつで書く代わりにICT機器を使っての学習、その効果は絶大でした。
 
(担任 上原国昭 教諭)
昨年の「学力調査」ほとんどできないんですよ、書けないから。
今年度(回答に)ipad使ったらほぼ満点。
だから「書けない」という彼の特性を補うことで、本来持っている彼の力が発揮できたということはそういうことだと思います。

どんな障害のある子供でも指導の力で自立や社会参加の可能性を広げる。それが「特別支援教育」です。今回は中でも、新城くんの通う「通級指導教室」についてお伝えします。

(岡田美奈子アナウンサー)
改めて特別支援教育について確認しましょう。
学びの場ごとの対象者の表です。障害の程度によって「特別支援学校」「特別支援学級」「通級による指導」と3種類に分かれています。
岡山県内には障害の種類に応じた特別支援学校が合わせて16校あり、幼稚部から高等部・専攻科までを通じ自立と社会参加を目指した教育が行われています。
特別支援学級は、特別支援学校に通うほどの障害の程度ではないけど、特別な支援を必要とする児童生徒が対象です。

(岡田美奈子アナウンサー)
そして、今回のテーマでもある「通級」
障害の程度が軽く、普段は通常のクラスでみんなと同じ授業を受けている子供が対象です。岡山県内では小学生・中学生・高校生を対象に、2512人が通っています。
 
それぞれの子供の困難さに応じた特別な指導を行う場が「通級指導教室」。 
津山市立北小学校です。
新城くんはおよそ2週に一度、北小の敷地内にある通級指導教室に通っています。

この日は中学校進学に向けて「書くときにはえんぴつの代わりにICT機器を使わせてほしい」という依頼文の作成を学んでいました。
字を書くことが苦手な新城君がICT機器での板書や問題に答える方法を学んだのが「通級指導教室」です。
 
(新城 円樹くん)
字を書くことが苦手で、3年生の頃から急にもう文字とかノートとか書けなくなってきて、ノートとは呼べないものみたいになってきたんで、多分このままいってたら、デジタル機器とか使ってなかったら、勉強はできてなかったと思います。

岡山県は学校の授業にICT機器を導入してのICT教育を実践しています。新城君のような困難さのある子供たちの助けにすることも、その目的の一つです。

(担任 上原国昭 教諭) 
学校で使用する前から、通級の方では、彼に対して合理的な配慮ということでiPadを使ったりいろいろなアプリを使って学習をしていましたので、そちらの方を学校の方に取り入れて、また通級にもそれをフィードバックしながら、お互いにどういうふうな使い方がいいかなって相談しながら今進めているところです。

字を書くことが苦手という困難さをICT機器が補ったことで、学力という彼の本来持っている力が発揮されました。
 


(新城 円樹くん)
タブレットのこともそうだけど、いろんなこと例えば整理整頓とか、コミュニケーションのこととか、いっぱい学べたことがやっぱ一番良かったことかなと思います。

通級で変わったのは、新城君だけではありませんでした。
 
(新城くんの母)
親としては、障害のことをよその方にわかってもらうことがなかなか難しかったからこそ、通級の先生しか話を聞いてもらえなかったので、息子だけじゃなくって私の方がすごい救ってもらったなって思ってます。


通級指導教室、近年、その必要性は急速に高まっているといいます。

(津山市特別支援教育推進センター 勝田俊行センター長)
昨年は北小の通級は50名程度で年度を始めましたが、今年度はもう70名近くなっています。
通級が周知されてきているっていう部分はあるとは思うんですけれども、多様な子供たちがいろいろな学びの場で学習をできれば一番望ましいことだと思います。
そういった意味でも通級指導教室というのが今、利用する子どもが増えてきている一つではないのかなと。
 
通級指導教室では、新城君のような学習障害のほか、弱視や言語障害、情緒障害など多様な子供に合わせた教育の実践を目指しています。

(津山市特別支援教育推進センター 勝田俊行センター長)
「何とかせんといけん」というのは教員はどの時代でも、子供たちが困っていたら寄り添って、その原因を探って、どういう指導がいいのかっていうのは、昔も今も変わらない。その中の一つとして通級があるんだろうなと。


通級指導で「困難さの改善」に一歩近づいた新城くんに将来の夢を聞いてみました。

(新城 円樹くん)
プログラミング教室に通っていて楽しかったので、将来はゲームプログラマーになりたいなあと思ってます。
 
(竹内大樹アナウンサー)
たとえ障害があっても、適切な指導・支援を受けられれば、その先の可能性が広がっていくわけですよね。
 
(岡田美奈子アナウンサー)
岡山県では、第4次岡山県特別支援教育推進プランを策定し、通級指導を含めた多様な学びの場を一層整備するとともに、障害のある子どもたちが主体的な学びができるようICT活用も含めた、特別支援教育に関する教員の専門性を向上させる取組を充実することとしています。

 動画は<RSK公式YouTubeチャンネル>で。