番組審議会

<第507回審議会概要>
■開催日時 平成14年9月11日(水)午後2時00分~
■場所 山陽放送本社第一会議室
■出席委員 高山雅之(委員長)、有吉捷郎、岩佐武彦、岡 靖彦、 金森満廣、中力 昭、中澤正良、中谷和子
■社 側 大倉社長、友田常務、糸島常務、井上ラジオ局長、原報道制作局長、野崎業務局長(番組審議会事務局長)、秋政編成部長ほか
■議事の概要 今回の番組批評の対象は、テレビ、ラジオともに連盟賞中四国地区で最優秀に輝いた作品で、まずテレビでは、主な意見は次のとおり。
△ 開園間もないフィルムを使ったり、愛知県に出向いて隔離に反対した小笠原という医師の功績をしのんだりというように、歴史と幅のある番組だった。
世界の先進圏、欧米などはどうなっているのか、日本だけがらい予防法の廃止が遅れたのか、何か日本の特別な事情があるのかちょっと教えてほしかった。
△ 愛生園で社会復帰を希望する人は2%、しかも実際に復帰されたのはただ1人。
まだハンセン病政策についての実質的な解決は全くなされていない状況にあり、これから意識的に関心を持って、みんなで解決していかなければならない問題である。
番組はそうした啓蒙をしており、非常に価値のあるもの。
△ 中心となった宇佐美さんの、その言葉の一つ一つが何か重い意味を我々に投げかけてく、自分を思い返すようなその言葉の内容に非常にショックを受けた。
擬似孫という場面があり、大阪のどこからか小さい子供を連れたお母さん方が入って来られた。
この場面を見て自分の持っていた意識の間違いに非常に胸を打たれた感じがする。観念的に自分はもうそういう差別はしませんよという意識だけでは、これはいけないと思った。
△ 高齢者で社会復帰をするという川嶋さんは一体どのような社会復帰をされていくのか、また大変な人権侵害で絶たれてしまった家族の絆というものが、これからどう回復されてゆくのか、
この辺のところも少し追求したらさらに訴えるものになったのではないか。
△ 日本という国がいかに意思決定が遅いのかとつくづく感じさせられた。
報道番組としての意義が非常に高い。開園間もない愛生園の様子を当時の貴重なフィルムを使って淡々と報道され、感じるのは皆様方の責任ですよといった非常に骨太の力作。次の時代を担う子供たちに差別というのはどんなものか、あるいはどうあるべきかということを知らせる非常に貴重な映像になると思う。
△ 岡山県で起こったことだが、長島愛生園だけでなく、日本全体の誤ったハンセン病に対する歴史を映像でとらえた後世に残る番組と思う。
次にラジオ番組については
△ 韓国と日本の同じような芸能の中に、神がかりという共通のものがあり、神楽のルーツにもなっている。同じように農業を主体とした国というのは そうなるのだと興味深く聞いた。
△ 幾つかの神楽が、韓国のムーダンに共通する神懸りのものがあるとか、中国の五行思想なども絡まっているということで、備中とか備後だとか、 いろんな地区の土着の考え、思想、生活と、それから海外の文化がまじって神楽の形ができてきたということがわかり、興味をひかれた。
△ 韓国と日本は、こうした芸能ものを通じても、民俗学的にも非常につながりが濃いということ、総社の鬼ノ城と韓国の山城など古代山城のつながりも非常に深いものがあるので、民族の交流が浮き出てくる時代になっていることを感じた。備中神楽を知らない人には少し退屈だったかも知れないが、酌み尽くせば深いものがたくさんあったように思うなどの意見が聞かれた。