「東京」

今身の回りにあるものだけで、このまま郷里に引っ込むのが一番よいのではと思うのが誘惑である。画商のジャン・ルック・マッソンには大変な重荷な始末を課すが、二人でアカギ・コウジロウ寄付基金を昨年春に立ち上げ、小さい画廊を持つことを思い付き、延び延びになってしまった、その購入のための準備の旅だった。基金の事業として日本人作家のフランスでの交流の足場に役に立てばが、始まりだった。勿論忘れられてゆくアカギ作品の展示交流の場でもあるようにとも願ったのだった。自分の体力に崩壊が起こっているのは感じられる。フランスでの50数年の作品、出版、印刷物、私のフランスに残した全てのものは、この基金に委託寄付する。

東京の都心ビジネス街のビジネスホテルを選んで、閉じこもり2週間の暮らし。テレワークでサラリーマンの出勤も少なく、道に人影は少ない。昼時にお弁当を作って屋台に並べる商売の人たちがあちこちに現れ、客の行列。レストラン、軽食堂などは、ガラガラに近い。それでも日曜日には、若者カップル、家族連れの外出人口が結構ある。商店もお客はあまり入っていないが、人待ち顔に殆どが開いている。 東京都心のビル街、東京は素晴らしい大都市になったなと、建築群に圧倒されながらみとれている。

2021年2月10日 赤木 曠児郎

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