「革命?」

パリ1区の中心部で絵を描くことになって、半月ばかり通った。現在住んでいるところは中心部に接しているといっても、1860年代にパリに編入された田舎村だった区なのであって、観光旅行で来る人は、大体1区か8区の中心部で終わってしまうのがパリである。サラリーマンの多い住宅街から通うのであるが、どの商店も美しい商店に作り替え、モダンスタイルに明るく、きっちりとネクタイ正装の若者ドアマンを揃え、景気良さそうに、良く続くものだと思えるのだが、派手にウインドウを飾ってお客を待っている。古臭いゴテゴテしたものは淘汰されて消えて、世の中の不景気も、不幸も知らないような一級品が飾られ、時計、宝石、服飾、鞄屋、靴屋、インテリアで光り、庶民住宅街のわれわれの住む地区の、特売投げ売りの目立つのと大変な違いを感じる。これが世界の観光客を惹きつけるモードの都パリなのだと、同じパリなのに感心するばかりの、本当に幸せな往復の日々であった。新しい名前やブランドが次々現れ、また投資する人があって、店舗の新陳代謝も多く、矢張り動いている。私の住む地区にはパリ見本市会場があって農業見本市、ファッションウイーク、大図書市、次々と世界から人の集まる専門大見本市も盛んなのだが、黄色いベスト運動があっても、とにかくみんな普通に生きる日常が続いている。

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