「エッフェル塔型スタイル花火誕生」

 夏の話題は、花火に尽きる。今年の7月14日フランス革命記念日の恒例のエッフェル塔の花火は、まことに見事なものだった。ずっと42年間、大体毎年見ているが、パリで花火が打ち上げられるのは、毎年この一日だけである。例外は、一度2000年に入る新年に打ち上げられたことと、世界花火大会がセーヌ河のパリ市内上流から下流まで、時間を決めて各河岸で国別の花火の打ち上げられた、世界花火大会の開かれた折りくらいで、毎年一回きりなのである。フーダルティフィス(人工の火)が、古くからの花火のフランス語であるが、最近はピロテクニック(火の技術)という言葉が使われるように、言葉も変わっている。竹筒に入れて一発ずつ打ち上げて、開くのをのんびりと鑑賞しているのでなくて、発火をコンピューター点火で制御して、パパパパッと沢山同時に開かせる派手な物が主流になっているからで、音楽や照明も入る。ベニス風と呼ぶのだろうか銀砂子を一面に撒いた、光る煙幕スクリーンのような花火が近年の主流で、モダンになった。通常エッフェル塔は塔から火薬を打ち出すと、ボルトが振動でゆるむ恐れがあって、禁じられていたのだが、2000年に入る時の世紀越え花火は、エッフェル塔から斜めに打ち上げるのが、特別許可になって見事だった。あれから15年見られなかったが、今年はまたあのエッフェル塔の高さを利用して、太い筆の殴り書きの動きのような、斜めに動いて行く花火が上がった。前衛書道の太い筆の動きみたいな、動きのある竜巻のようにエッフェル塔から火花を吹いて行ったのだった。これはエッフェル塔があってこそできる、エッフェル塔ならではの新スタイルが誕生したと、大喝采したのである。全体から一斉に噴き出させのでなく、渦巻きに登りながら出て行かせたり、衝撃の柔らげられる工夫が計算されて、塔の高さが活かされた、ここならではの新花火スタイルと受け留めた。

2016年8月10日 赤木 曠児郎

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