「エッフェル塔型スタイル花火誕生」

「売り込み」という言葉がある。買って下さい、使って下さいと、自分から積極的に熱心な人達である。パリの画廊に画廊作家で居た時代、毎日のように入れ替わり見て下さいと現れる、こちらの作家たちに驚いたものである。洋服デザインの学生が、洋裁店やメーカーに自分の描いたデザイン画をもってきて、何点か買ってもらって生活を立てている人もいた。それを受け付ける窓口も作られていて、デザイナーと呼ばれる人自身が、全作品汲々と頭をひねって全て作りだすだけではないのである。芸は自分で磨くもので、磨き上がって、物になるようになると、先方から求められて来るようになる、そこまで努力しなければならないのが芸道で、芸術家が自分から売り込みなどは、してはいけないと信じて過ごして来た。マーケッティングやセールスなどの世間の常識と、これでは全然、別のことになっている。フランス人作家の中にも、他人から求められるのと、自分から売り込むのとは、レベルが違うんだよと教えてくれる先輩がいたから、心に留めて来た。

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