岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

2016年4月10日

「近頃のこと、展覧会など」

 パリの関心は、秋のアメリカ大統領選挙、それから来年のフランス大統領選の下馬評、これで全てのようである。先日ベルギーでテロ事件が起こったが、昨年の11月にパリでも大テロ事件があり、フランス大統領は取締りを強化するための憲法改正案を出した。それから3ヶ月半、権力強化の行き過ぎだとか、平等の原則に反すると内閣から飛び出してしまう法務大臣まで現れ、喧々諤々の議論が続き、ついに今回の改正法案は「撤回」と3月末日、大統領がテレビに出て発表した。治安のためには当然だと思えたのだが、人の意見はさまざまと言う気分である。政治的には大変な出来事だったので、翌日別の元前首相との記者会見でもこの話題がトップ、日本で言えば安倍首相が立案して、世論が拒絶に成功した訳で、フランス民衆健在なりと思わせる大出来事なのだが、もちろん日本のジャーナリズムに、大きく取り上げられることはなかった。どんな政策をだしても、必ず半分は反対意見があり、また過去の利権で利益を得ていて改正に反対の人があり決まらない、決断がされたのである。今は別に新たに労働法も改正して、過剰に守られている労働者の権利を調整しようとしている。現在のままでは経営者は人を雇用できないし、失業問題に改善はない。立場が引っくり返ったような社会党政権大臣の出す法案に、当然労組、学生は聞き分けなく猛反対で、デモやストが繰り返されるパリになっている。国が割れても自由に意見の戦わせるところが魅力なので、羨ましくも思っている。

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