岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

2014年11月11日

「何かがずれている」

 11月のパリは、写真月間である。フォトに関する催し物が圧倒的に巾を利かせている。画廊などもこの月は写真展の企画が多くなり、もう絵描き顔負け、プリント新技術の発達に感心するばかり。写真を発明したのはこの国だと言う自負があるから、熱が入る。
 フランスは世界の観光王国である。昨年は8,470万人の外国人観光客を迎え、2位のアメリカ6,980万人を大きく引き離している。スペイン、中国、イタリア、トルコ、ドイツ、英国、ロシア、タイが順番で世界の10位まで。タイで2,650万人であるが、日本はそのまた、また下の方で、観光立国としては世界的の視野にも入らない。フランスで昨年度、一番人を集めたのはパリ・ディズニーランドで、1,490万人の入場者、それでも対前年より減少で赤字。2位がパリのノートルダム寺院1,400万人、3位モンマルトルのサクレクール寺院1,050万人、4位ルーブル美術館で920万人である。そして、べルサイユ宮殿750万、エッフェル塔670万と続く。その日本にパリのユネスコから世界の文化遺産が次々と毎年誕生するのは何故か?それは日本がユネスコの年間費用の4分の1を拠金負担している国で、アメリカ、英国、イスラエルなどが、分担金負担拒否、脱会、存続の危機が話題になるような事態でも、疑問も持たず黙々払い込んでくれる旦那国なのである。落語の旦那のお稽古事、旦那芸には師匠も甘く、次々と浄瑠璃の段を早くおさらいして行く噺を思い出す。富士山についで富岡、確かに急に日本人が押しかけ、地元は国内観光の儲けにホクホクだろうが、どれだけ国民の全体の血税が注ぎ込まれ、どんなコストに付いているか計算してみたらと思う。その日本に20も集まって、本当に世界の観光規模からみて価値あるのだろうか、いささか気になるのである。世界の投資人気都市の10位にも日本は入らない。ロンドン、NY、パリ・・上海、香港、北京と続きドバイまで入るのにである。

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