岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

2014年10月10日

「美術の話題など」

 法律がかわって以来、パリ市役所でも2000件目のモノカップルの結婚登録を受け付けたと、9月の末の報道である。うっかり夫婦と言えなくなって、ムッシュウ・ムッシュウや、マダム・マダムのカップル家庭もあるわけで、郵便の宛て名書きもややこしい時代になった。
 10月、枯れ葉、一挙に秋になった。演劇、コンサート、映画、スポーツ、展覧会、グルメ、専門見本市、いっぱいプログラムがあって不自由しない都会だが、その上に、古くからの習慣で巡回市や、地区ごとに集まって何々の夕べと専門イベントも次々あって、お祭りイベントが一年中の町がパリである。9月の末はファッション週間で、10日間ばかり各店の新作発表ショウの話題で賑わったが、それに先立つ5日間、「美容の流れ」とでもいうのだろうか、フランス各地にある化粧や、美容、エステのメーカー18社が、近頃のファッションフィバーの地区、マレー地区の画廊18軒を借りてのイベント週間があった。全然知らなかったがもう6回目、つまり発足設立6年目で、始めて今回からは資生堂も参加というので知ったのである。独立中小企業で、製品を分業して出している美容関係の会社が沢山あるが、普通一般に知られることはない。またマレー地区の画廊でも細い小道に沢山点在しても、あまり馴染みが薄い。イベントに協賛して画廊を貸し、立派なカタログを出して、若いファッション人種の人達が集まって、シャンペン飲んで賑わって散歩して、こんなものもあるのだと一般に名前や存在を知ってくれれば、お互いの利益なのである。いろいろな理由をつけて、〇〇地区画廊祭りとか、地区芸術家のアトリエ解放の日、国中上げて歴史建造物一般公開の週末、市内広場でコンサート、年中お祭りの話題が途切れない町なのである。ファッション週間も、1950年代、60年代に着ていたような姿に、材質も、形も巡回した回帰して帰ってきたような気がする。体のラインを丸出しで、昔はとても恥ずかしくて着ては外に出られなかったような、ヒップから足首までピッタリなジーンズ姿だけは、現在発生の女性の制服である。

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