「美術の話題など」

 10月京都でオープニングのはずであるが、一ヵ月先だってフランス外務省の豪華な広間で、外務大臣から日本の京都に「ビラ九条山」という文化会館を開くとの記者会見発表があった。現在唯一のローマの「ビラメディチ」に次ぐ、第二番目の国営施設である。日本の人にはあまり知られていないが、17世紀半ばから王立で、当時の文化先進国ローマに拠点の宮殿を持ち、美術品を買い入れたり、まだ後進国だったフランスへの文化導入の拠点とした施設である。パリの国立美術専門大学で卒業制作の一等賞は「ローマ賞」だったが、1803年ナポレオン皇帝の命で始まり、ローマのビラメディチに留学派遣され滞在、研究生活も保障され制作発表展までだった。憧れの格式の高い国家施設なのである。1968年の5月革命以来、現在はあらゆる分野の芸術活動の人が、国からの派遣で寄宿して、美術、文化交流、発表展覧会が開かれる道が開けている。その第二施設が今回、日本の京都にも開かれというので、日本伝統工芸文化との交流をいかに重くみているか、驚きだったのである。この建物は関西の親仏文化人のひとびとの力で1990年代に建てられて、フランス人日本研究留学生のための宿泊施設だったものを、全面改装。今回、国営の第2号ビラ、東洋初の施設となったものである。既に宿舎時代、過去300人の仏人寄宿利用研究生があり、日仏共同の道も、今回から開くと言う。

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