「パリの日中韓映画合戦」

  クリスマスのシーズンが始まり、パリの公園や緑地帯に、白い山小屋風の屋台が立ち並び、商店街のイリュミネーションと共に、歳末縁日風景が戻ってきた。家の中に閉じこもらないで、一日に一回は赤ん坊も公園の空気に触れさせ、大人も散歩が習慣だし、嬉しそうにゾロゾロと家族で連れだって歩くのである。外国人の目から見ると、憧れの有名店が沢山あるのに何故「屋台」と、不思議なのだが、一流有名店は、庶民には縁のないものと、意外と興味も示さず、外に出る動機であり、デモと同じで、寅さんの出そうな縁日と、そのコミュニケーションが好きなのだと、この続く大変な人混みに理解する。
 また女性の流行が出来上がった。申し合わせたように黒いタイツやぴったりの細いジーンズで、脚、腰の線を大胆にそのまま出し、短く化繊綿で丸く膨らんだ上着やコートで歩く。靴は長短ブーツやハイヒール、とにかく脚線丸出し、日本老人には、黒いラクダの股引きでそのまま歩いているような、眼を剥くような恰好としか思えない。  11月は、フランスの写真月間が定着した。どこの美術館も画廊も写真展の企画で一杯だった。写真技術が発達して、インクジェットプリントや新素材、新技術作品が現れ、旧来の絵画に変わってパリ美術界を闊歩している。壁に飾るのにも、価格的にも手頃な登場で、これが写真?と驚くような作品が次々、市場が拡がり美術商品である。

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