ルクールブ通り 26番地の内庭(3)
「ピアフとコクトー」
フランスに永く暮らしていると、大体3年毎に、日本から赴任の人達が入れ替わる。今秋は大使館、OECD、ユネスコの3人の日本大使の総替わりである。部下の人達も転勤、移動期で、送迎パーティに出掛けても、もう見知らぬ新人の顔ばかり、先方もきっと、何処の誰だろうと思っているのにちがいない。20年前、バブルで海外進出に日本が沸いていた頃、定員450名のパリの日本人学校(小学、中学課程、文科省より教員派遣)も超満員で、ウエーティング待ちの有様だった。現在は200名弱で、生徒集めに気を遣う状況である。つまり一般企業は経費節減で、派遣人員をそれだけ縮小したわけで、他にも2校あった私学のフランス分校も、みんな撤退してしまった。一向に減らないのは役所の世界で、海外だから外務省から来ているのかと思うと、内閣府、官房長、警視庁、国防、通産、文部科学、国土交通・・・・・とか、さまざまな役所や、機構からの駐在の人達に出会う。外国の実情に触れた人たちの増加は、国のために歓迎である。しかし公務員機密保護法なんてマル秘ばかりが増え、本当の意見の言えないがんじがらめの日本に変えられかけているから、活用されないと、国民の借金ばかりを増やして、無駄遣いということになる。民間が冴えないのに、役所の出向の多いのは完全に逆である。 パリ日本文化会館では、10月から、12月半ばまで、金沢文化展を始めた。加賀前田家の、現お殿様の講演は、人が入りきらない程の人気だったそうで、「始まったばかりでまだよく伝わっていませんが、毎日ボツボツ人が入り始めています」とは、館長さんの言葉。日本の伝統文化の本物には弱いフランス人、現代物が多く、ここしばらく話題になる催しに欠けていたが、今回は充分集まりそうである。
2013年10月14日 赤木 曠児郎
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