ネッケール病院の旧門
「印象記」
日本国大使公邸にも、日章旗が立ち、ポーチには菊のご紋章が大きく、中には天皇、皇后の写真が飾られ、入ると別世界の印象になる。公邸で国家行事の天皇誕生日祝賀会や、新年挨拶会などと、いろいろな行事があるが、日本の叙勲者の一人として招かれれば、国際外交のパーティでは、略章も付けて外国人と接するのが義務と思って、出席の機会もある。今回の新内閣法制局長官に就任された大使になられてから、正装の防衛省出向の武官夫妻が大使夫妻と並んで、出席者の挨拶の行列を次々受けられたり、招かれた人々に歌手独唱で「君が代」を清聴させ、祝辞など、これは50年暮らしても始めてだった。従来は比較的リベラルで、大使ご夫妻だけか、時に公使夫妻が加わって、入るときに握手の挨拶されるだけで、後は自由な雰囲気の文化国、国際親善パーティだったが、帰国された大使以来、国旗、演壇、儀式のようになって、何事も趣向が変わり、とても印象に残っている。今回の首相指名の新就任も、成程と思う地固め、着々と日本が変わって行く姿なのだろうか。絶対多数の内閣では、憲法改正なども議論の余地なく、せめてこの印象だけは、記録しておかねばと思った。
夏休みが終わって、また新しい季節がくる。この3年この国の新聞でもラジオでも、「フクシマ」という語を、見ない日、聞かない日は、一日もない。放射能の情報は、逐一報道され、先日も1ページ全面で冷凍技術の可能性が、一般紙に絵入りで報道されていた。忘れたがっているような日本では考えられないことだろう。早く核を押さえる新技術を開発して、日本の技術力の真価を、世界に見せて欲しいと祈るばかりの夏であった。
2013年9月9日 赤木 曠児郎
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