「イースターなのに寒い春」

  アリアンス・フランセというのは、フランス外務省の管轄で、フランス語圏勢力振興のための学校である。日本にも東京や京都に昔から日仏学院として教育機関を持っている。このパリ本部には劇場講堂もあり、春の企画として、ユネスコ無形文化遺産の芸能の紹介フェスティバルを始めて10年目になる。今年は、日本の岩手県花巻温泉の早池峯神楽が招待され、世界の民族芸能の間に入って蓋明け招待であった。
6月には狂言の夕べもあるそうだ。パリ日本文化会館では、小野寺修二カンパニーデラシネの「ゲーム」の公演、マイム劇であるが珍しく夜なのに子供連れ観客が多い。聞いたら8才の子供からも分かるようにと演出された、アングラ現代劇だそうであった。
伝統あるソルボンヌ大学のリシュリュー講堂では、2日間の日本食文化セミナーが開かれて話題。パリ商工会議所では、日仏経済交流セミナー、東日本大震災復興の投資誘致の集まりで、JETROが主催し、日本からは谷経済副大臣が駆けつける。パリの外人記者クラブホールでは、6月始めに横浜で開かれるTICAD V(第5回東京アフリカ開発会議)のための事前キャンペーンで、前ユネスコ総長の松浦前大使のカンファレンス。マリ共和国の内戦鎮圧援助のために、連合国一員として日本がアメリカを越え最大の援助金を約束、ドイツなどの6倍も出しているのはご存じだろうか。
美術の催しでは、グランパレで現代美術の画商が集まる「アートパリ・アートフェアー」の5日間。大勢の人が押しかけて賑わうが、写真とインクジェットを応用した、まるで手品のようなアイディアの新作品の氾濫で、こんな手もあるのかと楽しませてくれる。どうも筆でキャンパスに描いているようでは、旧式みたいな気分の会場であった。

2013年4月5日 赤木 曠児郎

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