「イースターなのに寒い春」

 長い間引き締め節約、引け引け緊縮の日本にも、東日本大震災以来、政府に人頼みで引きこもっているばかりでは、東北の被災地と同じで何もやってくれはしない、何だか積極的な気分に向いてきたようで、いろいろと日本関係の催しプログラムも多く戻って来ている。
 現在の日本文化からの関心は、マンガと料理で、一番活気がある。先週の年一回パリで開かれる最大のブックフェアーでは、日本から6名の漫画家が招待され注目だった。ブランリー河岸にある、原始アート美術館では、19世紀の末から日本に住み、1960年に軽井沢で亡くなったポール・ジャクレー、日本名は「若禮」と書くフランス人版画家の回顧展が始まっている。あまり知らなかったが、残された3000点に及ぶ作品が、今回故国のこの美術館に寄贈が認められ、里帰り展なのである。浮世絵の木版技術で生涯制作を続け、戦前日本の旧南洋統治信託地域を旅行して、ポリネシア風俗の版画を制作、原始美術が専門のこの美術館の趣旨と一致である。
 ビックリ!したのは、野沢道生さんという、日本でカリスマ美容師の第一人者として有名で、青山にNOZという美容室を構えている人。50才記念に休館日のルーブル美術館を借り切って、美容ショーを開いた。20点の各時代の有名な作品を選び、それをヘアーデザインして見せたのだが、館側も考えていて、まず専任のガイドが総動員され、招待者を小グループに分け、テーマに選んだ作品を訪れ観賞案内、それから大ホールで集まって、ショーという教育的なプログラム。年間800万の入場者で大混雑のルーブル美術館で、ゆっくりとテーマ観賞の夕べに感心させられた。パリに居られる日本、ユネスコ、OECDの3日本大使も、さすがこの前代未聞の企画に、全員夫人同伴でお揃いであった。絵描きでは畏れ多くて、考えも付かない。

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