岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

2012年8月10日

「おかしな気候のパリ」

 七月が、異常に気温が低くて、バカンスに海岸に出掛けても、寒くて震えている写真が、トップである。緯度が樺太中央位の北の町パリでは、夏でも軽井沢くらいの気候で、過ごし易いのが普通で、太陽に当たって、陽に焼きに行くのが夏なのである。そうして冬を越す準備なのである。  フランスでは、働く人や、企業の4割が、夏休みを取るという。1936年の人民戦線が獲得した、労働者の神聖な権利なのである。「釣りバカ日記」のような世界が、本当に実現しているのである。現在では、年間5週間も有給で休めて、夏はまとめて4週間まで取れる。しかし、4割の人が一斉に休むためには、6割のサービスに従事する人も必要な計算である。少しづつ時期をずらせたり、暇な時期休みを持つ人も出て来る。夏場の売り上げが一番大切なホテル、レストラン、地方産業は稼ぎ時でもある。幸せな4割の人々は、残りの10ヶ月間の働く日々を、来年はどのように過ごそうかと、期待と夢で働く。つまり、バカンス休暇、お金を使う消費の機構ができているので、これを貯めこんで蓄えにしようなどとは、考えてはいない。宵越の銭は持たなかった、江戸っ子みたいなものである。停年後の人達にも、それなりにバカンスの集いがあって、これも季節の習慣である。とにかく、国の年金を信用して、自分の老後生活設計を立てている。
 

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