岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

2012年4月12日

「春爛漫」

 復活祭がもう来てしまった。フランスではクリスマスに続いて、チョコレートの最も売れるシーズンである。パリの街路樹の、桜が満開、近々キロ単位で売られる桜ん坊を待ちながら、男性も女性も、チョコレートは大好きなフランス人である。兎や鶏、卵の型に打ち抜かれたチョコレートが、復活祭の季節シンボルで、チョコレート屋のウインドウに溢れ、学校も春休み休暇の2週間になる。
 世間のニュースはどうであれ、とにかく人気のレストランやカッフェだけは、夕方ともなると何時も人で溢れている。不況や社会不満、どうなっているのだろうと、日本でも、この国でも不思議なのである。3月はミシュランのホテルレストラン・ガイドブック新版が売り出され書店に並ぶ。毎年買うと場所を取って仕方ないので、5年に一回買い替えることにしているのだが、パリ市内だけでもリストに掲載、登場する店に大変な変化が起きている。鮨ブームだろうか、以前は5~6店しか出ていなかった日本料理レストランが、今や21軒も出ているし、日本人のフレンチレストランも多数あらわれ、保証つきのボタンマークの店に日本人新人シェフが二人も新登場、みながこの分野は、努力されているのだなと頭が下がる。このガイドブックが興味あるのは、名前掲載されるだけでも、その店に入ると、一定のサービスレベルと、満足度が保証されていることで、古くからの有名店でも、掲載店から消えていると、味や待遇に、矢張り問題があるからで、成程とリアルなのであり毎年厳しい。それで便利なのである。現在は伝統的なクラシックな店より、少しモダンな料理、店構えのところが選ばれ、好まれるようである。店のトイレットに入ってみると、審査基準を納得できることが多いとも言われる。知人のオーナーシェフが昨年レストランを売り、年令ですからと隠退したが、20年近く名前が掲載されていたのに、近年に消えていた。知人なので応援していたが、本人が矢張りガックリ気落ちしていたのだなと思う。
 

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