岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

2012年3月12日

「震災イベント花盛りなパリ」

  こんな言い方は失礼、不謹慎と叱られるのは確実である。しかしこの3月11日を挟んだ週、毎日々々東北大震災一周年記念行事と銘打ったコンサートや催しが続くと、「何故パリで?」少し首を傾げてしまうのである。大使公邸で開かれた、フランス上院議長、元社会党首相、パリ市長が参加しての追悼黙祷会、大使のフランス国民からの沢山の援助に謝礼の集まりは分かる。全ての人に自由に解放してと言う訳には行かないが、日本関係のVIP500名が参加しての行事であった。国としての必要な催しである。ノートルダム寺院での追悼ミサも分かる。カトリック教国とされるこの国での、これも役目である。写真展、記念講演会、太鼓を敲いたり、コンサート、何故日本から態々、地球の反対側まで出掛けて来てとなると、少し怪しくなる。それぞれの方法で、自由な訳ではあるのだが。
 とにかく大震災と一周年は、神風というのだろうか。この一年フクシマがこの国のニュースに登場しない日は一日もないし、この5年「中国」話題に人気が押されて、「日本」は消えてしまって、マンガ界以外あまり関心の対象に上がらなかったのに、近年は久方振り日本の名前が関心のタネに、復活登場したとは言える。今週はパリで有名な年一回の書籍見本市が4日間開かれるが、日本が招待国、大江健三郎さん以下、昨今フランス語訳の売れている村上春樹さん、現代の話題作家、評論家22名が日本から招かれて、いろいろなイベントが開かれる。1997年に日本が招待国になって以来、15年ぶりのことである。出版業界の景気は、この国でも下向き気味とはいえ、見本市には約7万人の入場者があり、文化報道関係でもその年の招待国がテーマ話題にされることが多いから、パリ社会で影響力の大きい見本市である。  
 先週はドービル市のアジア映画祭でも、日本が招待国で、日本を中心に震災一周年記念行事でオープニングし、セレモニー、講演会が開かれた。生け花、お茶会、展覧会、コンサート、講演会、震災記念が売り物のような昨今である。マルセイユの水フォーラムへの皇太子の出席は取り止めになったらしいが、バブルに続き、震災、謹慎して、退くことがベターであった日本人の気分に、このままでは駄目だ、政治家や国に頼ったり、ジッとしていると誰も何もやってくれない、自分でやらねばと、草の根から活気が起きてきているのを感じる。
 

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