岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

2011年9月11日

「ラントレの季節」

 9月は、こちらの新学年度である。永い夏休みを終わって、気分新たにまた帰って来るのを、ラントレ(復帰)と言う。
  パリの街も、先週からドンドン人混みが増える。面白いのは、若い女性が申し合わせたように、細い背の高いヒールの、パンプスを履いていることである。細いジーンズに、ハイヒール、今までのフラット履物と代わって、すっきり歩いているのもいるが、無理してるなと思うのも多い。それが、流行なのだろう。
  9月に入ると色々な変わり目がある。プランタン百貨店内にあった日本の高島屋コーナーも撤退、三越パリ店は昨年11月に閉店、三越エトワール展覧会場も本年3月で消え、これで昔あった日本の百貨店業のパリ店は全部消えた。大丸、松坂屋、いろいろ出店していたのだが、結局は日本人旅行客向けで、現地のお客は掴めなかったことになる。オペラ座裏のギャラリー・ラファイエット百貨店地下にだけ、松坂屋は早くに撤退したが、今でも日本人客応接コーナーが、韓国、中国客用と並んで残っている。現在のパリの旅行客の圧倒的主流は中国人客で、有名ブランド店に狂奔している。1970年代、80年代、バブルの時代まで、「ノーキョー」、日本人客と言うより、この語の方がパリでは通じがよかった。旅行業者が、全国農協の団体客を次々とパリに送り込んだ時代があったのである。ノーキョーで溢れていた。今は価格の安い中国製品氾濫から、中国人客の波なのである。過去に日本も同じ時代があって、韓国が続き、中国で、順番に同じ道なのである。現在の日本人旅行客は、パリ空港に着いて乗り継いで、ヨーロッパ各地の旅行に行く人たちを見かけることが多い。

page1/3