岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

2011年3月10日

「新聞を開く」

 陽射しは春の太陽が気持ち好さそうなのに気温が意外と低く、うっかりして風邪をひいてしまった。若い女性は申し合わせたように黒いさまざまなタイツにタオルを腰に巻いただけみたいな短いスカート、短いコートで、バレーの舞台みたいに脚をニューッと見せて歩いている。ジーンズも多いが、脚をどうやって通したのか分からないようなピシッと細いものばかりで、それに短いコート、それが若芽膨らむ今日のパリ平均的通勤姿だ。
 新聞を開くと、もう来年の大統領選挙に誰が立候補するかの話しで何ページも埋まり、内部抗争で埋まる日本の新聞と、洋の東西、政治家の世界は何処も同じである。日本だけではない、もっと自信や希望、持った方がよい。シラク元大統領まで、大統領不問期限が終わると、以前の事件で裁判所に引っ張り出されて闘っている。その公開性が大切なのである。
  吃驚するようなニュースは、近年の銅資材の倍近い値上がりにともない、フランスの新幹線が電線泥棒の激増に手を焼いていることだ。
あちこちで停まったり、遅れたり、2010年は1年間に3200回盗まれ倍増、地上に出ている電線ケーブルが狙われる。銅のたっぷり入った良い材料が、電車を走らせているからだ。公共の物を盗むのは大罪だと教育されて育った旧式日本人には、とても考えられないアルセーヌ・ルパンの国である。ビデオカメラや何機も専用ヘリコプターまで飛ばして監視しているが、銅が1トン百万円近い相場にまで近年倍々増、止まないのである。

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