岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。
パリ・シャロンヌのサンジェルマン教会
パリ・シャロンヌの
サンジェルマン教会

【近況】

6月27日〜29日
   パリ・オアシス展ル・サロン部出品
6月26日〜7月6日
   茨城・五浦岡倉天心記念美術館パリSNBA展出品
9月22日〜10月11日
   「マチュラン・メオとアカギ/西と東・二人の画家の出会い展」
10月1日〜30日
   「パリ・ブルターニュ会館」同展第二部
(ブルターニュ地方にあるマチュラン・メオ美術館、50年前日本に行き、日本を描いた作品を残した、あるフランス人作家の個人美術館との共催。日仏修好150周年行事)

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≪既刊≫

『パリ画集・21世紀始まりのころのパリ』
マリア書房刊
ISBN4-89511-347-7
6,500円+税
この8年くらいかけて描いた、約100点の最新作素描原画を収めています。

「新書版・私のファッション屋時代」

900円+送料
講談社エディトリアル・株式会社第一出版センター(担当・大崎さん)
TEL(03)5319-4150
FAX(03)3944-5241
または、展覧会場でのみ発売
 
2008年6月10日

「日本をまた見かけるようになったパリ」

 先週はイブ・サンローランの亡くなったニュースが飛び込んで、6月1日、日曜日の終わる深夜直前、翌朝の朝刊に間に合うのがギリギリ、フィガロ紙などは、朝刊一面のトップを大きなフォトで埋めて済まし、詳細な追悼報道は翌々日だった。間に合わず全然触れていない月曜の朝刊も普通であったが、とにかく社交界のトップニュースだった。4日木曜日の午後の、パリ中心部にオペラ座やルーブル美術館に近いサントノーレ通りのサンロック教会での葬儀は、もう朝から地区一帯は警察が出て駐車禁止、大勢の招待弔問参列者のための準備で、ものものしかった。この教会のあたりは、ラーメン屋、すし屋、ウナギ屋まで集まるパリの日本人街のど真ん中である。有名人の参列を見ようと、野次馬は早くから陣取るし、大統領まで参列とあって、大イベントだったのである。
 今年は日仏修好150周年行事の年にあたるので、日仏親善のマークの付いたイベントが両国で、いろいろ企画されている。
  5月15日から二ヶ月間バガテル公園のパビリオンで、日本の文化服装学園服飾博物館が所蔵するキモノの美展が、70点の出品で開かれている。あまり時代の古いものは、同博物館でも動かせないが、江戸時代後期、明治、大正におよぶ、精巧な織物や刺繍、染物、大名家や三井家にあったもので、その美しさはフランス人の目をびっくりさせている。母校に色のやけないように大事に保存されているものを、デザイナーのコシノ・ジュンコさんがオーガナイザーになって、フランスで実現したものである。水洗いの化繊キモノくらいしか縁のなくなった現代日本人でも、これが大名かと度肝抜かれてしまう。侘びや寂びだけの日本じゃなくて、豪華さだって凄いものを作っていて、それを消費する人たちが、あったのである。

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赤木曠児郎氏 略歴
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