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「五月の陽気のパリ」 年が変わって、夏休みまでの、いろいろな大型展覧会がひらかれる。昨年アルシンボルド展でトップ記録の、13万人の人を集めて大成功のリュクサンブルグ美術館では、今度は7月まで近代美術のブラマンク展を開いて、もう行列が出来ている。全生涯の作品を期待して見に行ったが、第一次大戦前までの作品で、野獣派から立体派の時期までで、少し期待はずれだった。佐伯祐三にしても、里見勝蔵にしても、この人の影響を受けて、独立美術協会は出来上がったようなものだから、やはりこちらが本家であって、元祖なことが、よく分かる。しかし当時あまりの人気作家で、ヒットラーに招かれて、ドラン、スゴンザック、バンドンゲン、フリエッスなどと共に、ドイツ視察旅行に訪れる。それが第二次大戦後災いして、対独協力作家として、ユダヤ人が多い画商社会や画壇から、この人たちは抹殺され、晩年をすごした作家たちでもある。やっと表に出て再評価かと、この人の全てを通して見たかったのだが、矢張り第一次大戦前までの仕事と限定されていて出されてなかった。1958年に亡くなるまで、晩年の作品も好きなのだが、第二次大戦の問題は、半世紀以上たっても、消えない影を残しているのであることを、会場であらため強く感じた。
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