サンティアサント通り
サンティアサント通り
 

「芸術の季節」

 美術展では、シャンゼリーゼにあるグランパレが、何といっても中心である。国立美術ギャラリー会場では、明年1月まで続く「ク ールベ」展が人気で、一日5000人位が行列して入っている。
 中心のガラス貼り天上の大ホール部分で開かれた、歴史的5大美術公募団体合同展「アール・アン・キャピタル」も11月22日から12月2日までの10日間で、約4万人の入場者だった。つまり、世界の展覧会の元祖に当たる300年以上の歴史のル・サロン展から、19世紀末に出来たアンデパンダン展、国民美術家協会展、戦後のコンパレゾン展など、どちらかというと前衛より、物を見て描く具象美術家団体の合同展である。フランス文化省が、日本の日展や、その前の帝展、官展のように、まとめて一本化したがっているのが、こんな形になったのだ。昨年に続き今年が第二回目であったが、来年はサロンドートンヌも結局ここに加わる。この国では各美術団体にも2千万円ずつ位の政府助成金が出されていて、とにかく年金とか、助成金制度の完備してしまった社会であるのに驚くだろう。文化省というものさえ存在しないアメリカとは、大違いの国なのである。財源には、国は20%の消費税を集め、国民も当てにして頼りきっているのである。自分のカで開けの競争社会より、出来る人が働いて皆で分ける社会主義が人気の国なのを、この国にいると痛感させられる。デモやストで大迷惑かけられても、要求の権利がいつ自分にも必要になるかも知れないから、大らかなのである。19世紀に数々の闘争をして、獲得した庶民の権利なのである。

BACK NEXT

page2/3