「芸術の季節」
この秋の入場者数記録では、リュクサンブルグ美術館のアルシンボルド展が、トップになる。16世紀イタリア人だが、神聖ローマ皇帝の宮廷画家で、果物や花、食物が集まって顔になる不思議な絵、小さな美術館なのに、一日7千人入った日もあるという。ポンピドーセンターのジャコメッティの彫刻展にも人が集まり、これと最初のクールベ展とが、皆来年の1月まで続くが、もう10万人以上の入場者を集めて話題なのである。美術評論家などと言う人に評価は高くても前衛美術では、やはりこういう人気にはパリでもならないのは同じようで、音楽なら18世紀のドイツ系の作曲に、今でも集中するようなものである。
パリ日本文化会館、開館10周年記念行事、「黒田清輝から藤田嗣治まで」、日本に西洋画導入以来120年の歴史の回顧展に、時々通っている。大先輩の日本洋画の歴史にパリに居てひたれるのは、願っても無いチャンスだからである。たった120年というのか、どう取り組んで消化してきたのか、静かな感慨にふけっているが、来年1月まで通える。クリスマス前に終わるが、三越エトワール会館の上村淳之展も小鳥というテーマの40点の大作、贅沢で落ち着いた会場にふさわしく、パリのご婦人たちに人気で、こちらも意外と初老の人が集まっている。
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