パリのキオスク
 

「12月のパリ

 とにかくこの12月はどの商店も、百貨店も、3ヶ月分、4ヶ月分もの売上を出さねばならないので、必死である。平常ケチケチで節約して溜めるフランス人が、夏のバカンスにお金を使うのと、暮れのクリスマスに知人、家族との贈り物の交換に溜め込みを一斉に発散するからである。子供など、欲しい物を親から買って貰えるのは、このクリスマスの時だけ、誕生日もパーティーでもしなければ、あまり買って貰えない子が普通だから、年一回これも真剣。
 しかし、「交換」というところが大切なので、子供は子供で親に祖父母に、何を贈るかまた頭を使うのである。日本人の考える盆暮の贈り物は、これはもう「賄賂」の範疇であって、平常は日本人みたいな物の遣り取りはないし、クリスマスシーズンに年一度、平等な個人対個人の友情の交換で、大変にニュアンスは違う。上役は下に恵みを与えなくてはいけないし、下役から物を贈られると、自分と同等、または上と考えているのかと、不愉快になると言うくらいの、日本人の慣習から考えたら仰天するくらいの、意識の違いがあり、あくまで「交換」または「恵み・施し」なのである。

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