窓からの風景
 

「12月のパリ

 パリに帰っての暮れの二週間、どこにも出ないようにしていても、シャトレ座劇場で開かれた、今年のロン・チボー音楽コンクールの優勝者発表演奏会には出掛けた。日本のフジテレビがスポンサーでこの世界的定評のコンクールも続いていて、知人のパリ三越エトワール山田支配人のお嬢さんが17歳で見事バイオリンで1等賞、世界的デビューを果たした。翌週アメリカ大使館で、昔20年間、私をみていた画廊の主人がペンタゴンから表彰、授与式に20名ばかり招かれ、フランス芸術院長のドートリーブとも久し振りに顔を合わせたが、彼は彼で「毎日毎日連続で、夕べもパーティーで三日続けて午前2時、絵を描く時間もない」とぼやくこと。
 昨夜はコンコルド広場の前に立つクリヨンホテルで、デビュットルタントパーティー、集まったのは320名ばかり。20歳前の少女が一人前として社交界に紹介される十九世紀の習慣、消えていたのが業界の活性化に1990年代復活され、7年前からは日本のミキモトパールの資金で続けられている。23人の西欧社交界の令嬢に、世界のオート・クチュールの夜会服を着せ、全員ミキモトパールのアクセサリーを合わせて、人気キャスターにより紹介される。旧貴族名家の王女とか、今年はゴルバチョフの孫娘、日本の宮沢元首相の娘さんがアメリカ外交官と結婚した間の孫娘さんなどだった。この情景は17日昼間TBSで独占、流されるそうである。

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