山陽放送学術文化財団は2017年4月21日、4月初めに発刊した蘭学シンポジウムの記録集『岡山蘭学の群像2』200冊を岡山県立図書館に寄贈。原憲一理事長から狩屋幸司館長に目録が手渡された。同館長は「研究資料としてもたいへん貴重で、岡山県内の図書ネットワーク加盟の97公立図書館・大学図書館で有効に活用させていただきたい」と述べた。
『岡山蘭学の群像2』は『岡山蘭学の群像1』と同様に、日本の近代化を牽引してきた岡山ゆかりの蘭学者たちのあくなき探究心とその姿、そして今後の課題までもが浮き彫りにされたシンポジウムをまとめたもので、昨年開催されたシンポジウム3回分、幕末の対米露外交の裏舞台で奔走した津山藩医箕作阮甫、日本初の民間新聞の創刊や先駆的な事業を興した岸田吟香、オランダ技術で児島湾干拓事業を進めた杉山岩三郎を収録。特に、最晩年に撮影された箕作阮甫の肖像写真の中から新たに見つかった4点のカットや杉山が明治の元勲大隈重信に宛てた書状など貴重な資料も掲載されている。
同書は、第一線で活躍する研究者らが最新の知見・研究成果を交えて分かり易い言葉で発言。先人のあくなき探究心とその姿、今後の課題までもが浮き彫りにされているほか、貴重な資料や写真を多数掲載し、会場の熱気もそのままにて、読みやすい「蘭学読本」に仕上げられている。
A4版、232ページ。定価は1,512円。主要書店で販売されている。