山陽放送学術文化財団(原憲一理事長)は2015年12月25日、緒方洪庵が大坂に開いた蘭学塾「適塾」の入門帳=姓名録(複製)を津山洋学資料館に寄贈した。
この姓名録は、同財団が開催している「シンポジウム岡山蘭学の群像Ⅲ 百年先の日本を見据えた男 緒方洪庵」で講師を務めた大阪大学医学史料室の米田該典さんから寄託をうけていたもので、天保15年以来緒方家に保管されてきた姓名録の複製。全国から集まった塾生637人の署名と出身地、入門年月などが書かれている。
姓名録を受け取った津山洋学資料館の大倉淳一館長は「館に展示するとともに研究者にも広く開示し、当時の医療事情の研究資料としても活用させていただきたい」と話している。
適塾は1838年、「蘭学を志す程の人は皆此の塾に入りて其仕度をなす」と言われ、全国から多くの塾生が集まった。会読中心の教育は談論風発の気風を生み、福沢諭吉や大村益次郎など明治維新・近代化の立役者となった多くの人材を輩出した。