11月17日(水)よる7:00~7:57
天国の母と描いた動物たち~自閉症の画家、石村嘉成の挑戦~
「きょうはいい天気ですね」
動物に話しかけるように絵筆を走らせる青年の姿が、池田動物園にありました。
個展を開けば会場の動員記録を塗り替える新進気鋭の画家・石村嘉成(よしなり)さんです(27歳・愛媛県新居浜市在住)。嘉成さんは自閉症です。
「何が何でも私が立派に育ててみせる」深い愛情でときに厳しく育てたのが母親の有希子さんでした。四六時中、嘉成さんと過ごし、学校生活も毎日教室まで付き添いました。しかし病に倒れ、40歳の若さで他界。残された嘉成さんは、まだ小学5年生でした。
嘉成さんは版画に興味を示し作品が評価されるように。油絵にも活躍の場を拡げ、才能を開花させました。嘉成さんがすすんで描くのが動物園の動物たちです。「息子は母に褒められたいのかもしれない」と父親の和徳さんは言います。なぜなら、動物園は嘉成さんが有希子さんに手を引かれ何度も通った母との思い出の場所なのです。
嘉成さんは新作に取り掛かりました。題材は、今春 池田動物園にやってきたアミメキリンのサンタロウです。父・和徳さんは池田動物園を訪ねたあと、嘉成さんを高知県の のいち動物園へ連れてゆきました。そこはサンタロウの故郷、親キリンのリンタロウとジャネットがいるのです。天国の母・有希子さんの魂が宿るかのように生き生きとキャンバスを走る絵筆。新たな動物たちが私たちに語りかけてくるものとは。