5月27日(水)よる7:00~7:55

世界が注目 自然派ワインを岡山で

今、ワイン業界で注目を集めているのが「自然派ワイン」です。原料は、自生に近い険しい自然環境を生き延びたブドウ。醸造も酸化防止剤などの添加物に頼らず、そのブドウの力だけで発酵を促す天然のワインです。
20代でフランスにわたって自然派の修行を積み、カリスマと呼ばわれるまでになった日本人醸造家がいます。大岡弘武さん45歳。果実そのものの新鮮な味わいとアルコールの深みがしみわたる万人に愛される飲み口が、新たなファンを生み続けています。
大岡さんは4年前、名声を得たフランスを去り、帰国しました。3人の子供たちに日本の教育を受けさせるためでした。移住先に選んだのは故郷の東京ではなく、ブドウの産地として実績がある岡山市北区でした。
新たなスタートを切った大岡さんの自然派農法は、畑の雑草を刈らず、作物の天敵・虫や鳥がはびこる「カオス」な状態です。果たして、この環境を生き抜き、真の「岡山の味」を宿すブドウは収穫できるのでしょうか?
大岡さんは、自然派ワインの先に日本の農業の未来も見据えます。収穫が安定しない自然派のブドウを一定量確保するためには広大な農地が必要。そこで考えたのが、全国で増え続ける耕作放棄地の再生。自然派として生計が立てられるモデルを確立すれば、新規就農者が増え、耕作放棄地の問題解決にもつながる。大岡さんは、自らを慕って集まってくる研修生たちとともに実践を始めました。
最初はフランスと異なる日本の風土に戸惑っていた子供たちも逞しく成長しています。見果てぬロマンを追う大岡さんと家族、その理解者たち、そしてワインとブドウの記録です。

(写真=自然派ワイン醸造家・大岡弘武さん)