岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

2019年6月10日

「極右の時代が戻ってくる?」

5月末に5年毎のヨーロッパ議会議員選挙が一斉に有って、フランスだけでも34の政党立候補、それが28カ国でそれぞれとなると、マスコミ報道は選挙の話題ばかりだった。結局フランスでは投票率も61%と上がり、従来の40%台に比べて、関心が強かったといわれる。そしてFN国民戦線の加わる、統合右寄り国民連合が第一党のトップに躍り出て、第二位がマクロン大統領の支持派新党の結果になった。今までの政権を担っていた日本の自民党にあたるような党も、社会党や民主党にあたるような党も、過去の政党が見事に見放されて、10%にもならない惨敗の結果である。古い顔ぶれの政党政治家がすっかり人気を落してしまって消えて、またこの分析や行方の話題で賑わう。第三党はエコロジスト(環境問題派)で、これも新党で勢力を伸ばして来ている。異常な移民や難民の流入増加問題から、人権や博愛にも限度があり、それぞれの自国のことをまずは守るべきだと思う人が増えて、トランプ流の反グローバリゼーションに共感が持たれているのだろう。しかし、これはかってのナチス登場の場面にもあまりに似ていて、不安な方向にヨーロッパも入りかけているのではと心配でもある。

庶民の生活不満発散の「黄色いベスト」土曜日集会デモ運動も、もう半年以上も土曜日毎に繰り返されている。集会の第一目標とされたパリ・シャンゼリゼ凱旋門付近は、土曜日には地下鉄の駅も閉鎖、分散させて人が集まらないように集会禁止警戒されて、界隈の商店は土曜日が営業にならず大痛手である。黄色いベストはインターネットの呼びかけで集まってくる人たちのそれぞれの不満の発散で、意見を一つにする政党ではないからバラバラなのだが、場所が伝わると集まってくる。一方古くからの職業的労働組合は週日に、また別に恒例のデモを開く。医療、教育、交通、とにかく何か改革があるとデモの種には事欠かない。だからパリの街には毎日のようにデモがある。

page1/3