「ノートルダム炎上余話」

ところが、5月になってわたくしのことを扱っているパリの画商のジャンリュックが、インターネットの検索をしていてこの作品を見つけ、吃驚して連絡して来てくれたのである。インターネット上のことであるがバチカン美術館が、今回のノートルダム寺院の火災に対してお見舞いメールを4月15日づけで全世界に発信していて、そのイラストにつけられているのがわたくしの作品の赤いノートルダム寺院で、作者名、題名、当館現代美術部、所蔵ナンバーまで振られている。眠っている作品の間からノコノコ起き上がって、先方から表に出てきてくれたようなもので、これで本当にそこにある証明がされたと飛び上がり、沢山の所蔵作品群のなかからお役に立てる機会が持て、本当に良かったと感謝した。30年来の疑問も今回の火災の縁で氷解、電子情報の時代を痛感したのであった。 この作品は背景の具合を変え2点描いてみたもので、兄弟作品の一点は岡山県立美術館にある。

2019年5月12日 赤木 曠児郎

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