岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

2018年10月17日

「10月の出来事」

日本に一ヵ月個展のため滞在、帰仏したばかりである。10月半ばなのにパリの気温は高い。28℃近くあって、まだ半袖でもOKで、日本より暖かい光景にビックリ。日本にいる間、外国ニュースと言うとトランプのことばかり、それから中国、ロシア、後は内外旅行の物珍しい紹介と、グルメで食べ物の話だけが飛び込んでくる。
台風の襲来に出くわしたのは、経験だった。結局は逸れて外れて何の影響も私には無かったのであるが、一日中日本の国営?テレビ放送が、一切の他のニュースや番組を流さず中止して、朝から晩まで台風のことだけ流していて、これが一番珍しかった。まだ沖縄の端で日本にも届いてなく、北海道なんか関係もないのに、どの時間に、どんな進路の予測で、飛行機は止まるわ、電車は運転中止と詳細に流し続け、被害の一番多い激しい光景だけが、日本全国に何度も同じフイルムが繰り返し報道される。どの地方で何所帯避難勧告なんて聞かされると、日本人は大人しく羊の群れのように従うのだろうか?わたくしには4分の3世紀前の悪夢、ブーッとサイレンが鳴って大本営発表という声に全国民が従っていた時代の、再来としか思えないのだった。気象予報士が仕事のチャンスにありついたとばかりに、嬉しそうに終日ご宣託をならべる。もし台風が来て被害が起きれば、予報していなければ責任がかかるという大義名分なのだろうが、逆に直接の影響がなかったらアーヨカッタで済むのだろうか。少し度が過ぎているような気がしたが、それを従順に許し受け入れる日本人の心情のありかた、批判の無さが心配だったのである。

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