「バカンス明け、まず一杯」

今、煙草は完全に人間の害となって、排除されている。長い闘いだった。続いて反対運動の好きな人に、近年起こったのは禁酒のテーマである。ワインの産出国でグールメ(食通)が売り物のフランスで、どうなることかと思うのだが、妊婦の体内の新生児への影響の切り口から、声高になっている。まだフランスでは、少量の度の越さない少し位のアルコールは、精神の安定に良いと、車の運転にも目をつむっていて、完全禁酒の日本とは大違いなのだが、「アルコール運転は止めましょう」のポスターも、もう各所に見られる。

この一年フランスでは物価上昇率が2.7%になって、インフレ状態と発表、警戒されている。収入や年金が上がる訳ではないから、生活が苦しくなるのだが、とにかくバカンス明け、カッフェのテラスだけは、夕方のひと時どこも満員でビール一杯、ワイン一杯、会話で賑わっていて、幸せそうな光景である。テラスが道路にはみ出してテーブルが設けられていれば好いので、薄明りのなかで、日没までの時間を過ごす。昔の縁台の夕涼みみたいなものだろう。この国の人たちには、会話の交換が一番大切なので、人のふれあい、そして息抜きでもある。

2018年9月11日 赤木 曠児郎

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