岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

2017年7月10日

「フランス流消夏法」

 異常に暑い日が波のように襲って来る。通常パリの緯度では、冷房不要の土地だったので、暖房は完備していても、冷房設備のない石壁の建物が普通である。今造りの薄っぺらなガラスや、コンクリートの現代建物になって、外気の変動に耐えられないから冷暖房設備を備えるようになっている。フランス風の消夏法は、朝太陽の昇る前、明け方の涼しい空気を、窓一杯に開いて家に入れて、陽が出ると窓を閉め、外の雨戸二重扉も閉めて、石造りの家の中でひっそりと薄暗い中で涼しい空気を保って、一日中静かに過ごすのである。窓を開け放って、風鈴がリンリン鳴るような吹き抜き通し風を入れて過ごす、日本家屋的考えは全然ない。吹き抜けの風は、湿度の低いフランスでは長い間風に当たっていると、骨が冷えてリューマチになり、命取りだと考えられていて厳禁、湿度の高い日本とは全然違う。

page1/3