岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

2015年1月11日

「2015・お正月早々」

  正月明け、大変な事件が二度も続いて起きた。3日間は現場実況で、テレビもラジオも終日、フランス全土がこの事件を見守っていた。テロリストが死亡した今日は、もう平常の報道番組である。週刊マンガ誌の被害にあった漫画記者の二人は、毎年出品しているサロンドートンヌ展の、昨年と一昨年のカタログや案内状の表紙を描いた著名作家だったから、すぐ身近なことでショックである。かれらは100年続く有名美術展の表紙に、漫画を採用されることが、漫画の地位の向上と喜んで、協力参加してくれていたのである。難しい理屈を並べたてて抽象、風変わりなことを考え付いて美術評論家と称する族を喜ばせる風潮より、直接、単純な漫画の表現に、現代の伝達の意義を認めていたのである。今回の宗教風刺の報復とは、考えもしなかったことだが、それだけ漫画美術が、影響力を持っているということだろう。どのフランス人の意見も、単なるテロリストの行為の酷さではなくて、言論の自由、発言の自由、表現の自由が侵されたことに、申し合わせたように怒りと、不安をあげている。特定秘密保護法なんて通過してもケロリとしている、日本人には理解の遠いことかも知れない。

page1/3