岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

2014年8月10日

「今年の花火」

   Feu d‘artifice(フウダルティフィス)が、日常のフランス語で覚える「花火」の言葉である。15世紀のころからイタリア語からきて、使われていて、ドーンと一発打ち上げて、バリッと花のように夜空に開く。開き具合の余韻が、観賞のポイントなんて、夏の風物詩をイメージにいだく。ところが最近は、1626年頃から現れたが、あまり知られていないPyrotechnique(ピロテクニック)と言う、花火製造術という厳めしい学術的な言葉が復活して、新聞広告の案内などにも、使われることが多い。火薬の火花の方に縁のある言葉だから、火炎放射器の炎のようなものを、想像してしまう。最近の花火はコンピューター制御で、まず画像で全体の構成がプログラムされ、点火スイッチの接続が設計されていて、火筒に花火師が点火して駆け回った時代ではないのである。噴水の水の祭典が、火花になって夜空に次々上がっているようなものに変わって来て、色火の粉のカーテンがキラキラ、ボンボン空を埋めて、興奮を途切らせない。ベニスのカーニバル風とでも呼ぶのが主流である。浴衣よりイブニングの方が似合いそう、だからピロテクニックの方が、より正確な表現なのだろうかと、7月14日の花火に納得する。

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