岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

2014年6月11日

「カッフェのテラスで」

 暑かったり、寒かったり、さっぱり毎日が不定である。暑い日のパリの街はまるで海浜ビーチのような、太腿、スラリと伸びた脚丸出しの女性の闊歩で、まことにこれがエレガンスなお洒落の町パリかなと?信じられない光景である。
 パリでは歩道を拡げ、テーブル、椅子を外に出してテラスを作ると客が押しかける傾向で、新規開店、改装オープンのカッフェや、レストラン、軽飲食店が目立つ。パン屋でも洒落たテラスを作ると、早速に朝食時間のパンとコーヒー、人が入り始める。とにかく昔は車の駐車が優先だったが、車を追っ払って舗道のテラス作りが、町の賑わいと活性化の焦点になっている。通り過ぎる人をぼんやり眺めるだけ、街路樹の緑の木陰の至福、日射や木漏れ日を楽しむ。お喋り、一杯のコーヒーで2時間くらい、安上がりの喜びであるが、それが良いのだろう。セカセカと長手袋、キャスケット、狂気のように紫外線を恐れる、亜熱帯国日本の人には、緯度が高い北国の日光浴、この喜びは理解しがたい時間かも知れない。
 老後の年金保障、社会保障、医療保障、いろいろな名目の社会助成金、行き届いた社会を作り上げた先進国フランスでは、皆が落ち着いて暮らしている。デモやストの、要求を打ち上げることも多いが、これも日常出来事である。子供を育てることへの助成金も多く、フランスの出生率は2を超え、最近は毎年人口増加になり、出生率1近くで将来の人口減見通しの日本とは大違い。税金の割引や、子供を育てることに手当てがあって有利で、収入につながるので、妊婦を見かけることも近ごろやたらと多い。以前のフランスは日本と同じで、子供を持つことが極端に嫌がられ人口減の国だったが、改善されたのだろう。

page1/3