「昨今、タバコから思うことなど」

  つい先月半ば、バージン・メガの店舗がとうとう倒産した。1200名の従業員も失業。1988年にスタート、あっという間に26店舗もの巨大スペースの店がフランス中に広がり、ITソフトや、CDレコード,DVD、書籍の若者文化の中心みたいに栄えた。シャンゼリーゼの大通りには、アメリカ系シティ銀行の立派で豪華な建物の後にあった。銀行と言う職業も金余り、一般預金よりネットやカードで店舗不要の時代となり、目抜きより安いところに移転した。その空いた後に入居して、永年話題の注目繁盛店で、若者から子供まで集めたが、携帯やホーンの時代になって不要になり、これも時代遅れ、とうとう25年で全部が消えて、時代の移り変わりを感じさせられる。この業種の小売店は、本当にこの頃閑散として、消えて行く。我が家も CD、DVDソフトの山、狭い家の一角に大きく積み上げてある。本当にこの10数年よく買ったなと思う。もう腹一杯だ。
  日本のアニメの祭典「ジャパン・エキスポ」も、パリのオートクチュールコレクションも、パリ庭園ショー、パリ航空見本市、いろいろあるのだが、普通のシルバーエージの暮らしに入ると本当に関係なく、数日でもう終わったのという感じで終わっている。関係者ででもなければ、町の広告や、新聞の写真で終わってしまう。それでも、パリ市役所の大ホールで、3月から7月まで開かれていた、パリオートクチュール155年の回顧展は、入場無料の上、いつ行っても大行列で並んでいた。ノスタルジーと、こんな素晴らしい技術、手の込んだ仕事があったのだと、懐かしく並ぶ人が一杯だった。ただし着ているものは、現代パリ女性はぴったりタイトな、ストレッチのジーンズが制服である。体の線がどんなに見えようと、とにかくパンパン一杯に肉をつめこんで、裾までぴっちり。巨大なお尻を振り回して歩くのが流行らしい。新品の藍のきれいなジーンズが、大切なポイントで、ボロや、擦り切れていては、いけない。

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