クロア・ニベール通り
32-34-36番地の跡
「笑い」
10月から始まって12月15日まで、同じ文化会館の展覧会場では、先史時代から19世紀までの、日本美術に現れた「笑い」がテーマの、美術展が開かれている。日本の森美術館が中心になって、27カ所から作品を集めた、約100点。パリだけの特別記念企画で、日本でも見られないというものだが、正直、一目見ただけで、単純に笑えるものがない。河鍋暁斎の「放屁合戦絵巻」は特別として、解説を読んで、説明を聞いて始めて、日本人でも成程と頬がゆるむ。この国の人にとっては、異文化だからもっと致し方ないが、縁の下の努力の要ることを痛感する。入り口の傑作は、埼玉県本庄市の教育委員会が持っている、6世紀の3体の埴輪。110センチ大の大きなもので、笑い顔の埴輪は日本でも珍しい出土品だそうである。今回のために、修復化粧させ新品同然。最初コピー複製品を持ってきたのかと思った位、ピカピカである。カタログ写真とも全然違っていて、荷物を開いて一同愕然。市側はパリ出品に緊張して綺麗にし、将来は市の観光シンボルに使うといって、大張り切りだそうで、これこそ本当の笑い話し。一見の価値がある。しかし、古い歴史の町を、アンドレ・マルロー法とか言う法律で磨いて、石の古さを除去して、ピカピカの建てた当時の新品の町を欲しがる文化大臣も居た国だから、理解してくれるかも知れない。
2012年11月10日 赤木 曠児郎
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