岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

2011年6月13日

「ヨーロッパのGW」

 ヨーロッパは、5月末から6月の初めに掛けての頃に、キリスト教の祭日が重なってGWである。日本と約一か月ずれている。パリの町の、一般住宅街の住人は、田舎のセカンドハウスに出かけて、割とひっそりしているのだが、ホテル街や、観光客の集まる場所だけは、ごった返しの混雑である。カンヌの映画祭、ローランギャロスのテニス世界選手権試合の頃は、ホテルは超満杯でパリ市内には空部屋一つ無いよ、と言う始末。さすがパリは世界の観光都市ですねと、自粛がムードの日本から来た人が驚きの声を上げる。この祭日の重なる日の永い、朝の5時から夜の22時頃まで太陽の昇っている若葉の季節に、ヨーロッパの人達も生涯に一度はパリにと、小観光旅行を企てるのである。家族連れ、小学生の団体旅行のようなものまで多い。そして、これからすぐ始まる、二か月の長い夏休みシーズンには、見学旅行より体をリラックスさせる、休養が中心となる。
 とにかく、皆が楽しそうにカッフェのテラスや、レストランに人が溢れている。毎日沢山あるコンサート、催し物とか美術館も行列である。失業とか、経済不安とか、あまり庶民の日常には無関係で、パリは幸せそうに溢れている。レストランで人の入っていないのは、割高で美味しくないとか、店側に理由があるのであって、客の眼は厳しく、良ければ人が並んで押しかけ、不景気や政治とは無関係である。これは日本でも同じで、震災とか自粛とか関係なく、飲食店だけは賑やかなのを、先月過ごした自粛日本でも、各地で見ている。リラックスは人を癒してくれる。

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