岡山市出身でフランスのパリを拠点に活躍する画家、赤木曠児郎さんから月に1回程度「パリ通信」を送っていただいています。

2010年12月12日

「雪の降ったパリと田舎のこと」

 珍しく11月から雪が降り始めて、12月に入っても降ったり、積もったりして、雪景色が続いている。パリジャンの衣料は黒物ばかりで、まるで制服みたいだと、男も女も驚くほど。グレー、ベージュ、茶などは、通る人全部足しても3%もない。多いのがニョキッと長く、スラリと電信柱みたいに伸びた二本の脚に、黒いタイツストッキングをはいて、上の方に超短い、手拭いを巻きつけたような黒スカートに短い上着、ギョッとさせられるが、よく見事に伸びたものだと美しく、短足の日本人には真似もできない。ジーンズも現在は、どうやって毎朝脚を入れているのか分からないくらい、ピッタリと細いものが流行りのセンスらしく、沢山みかける。
コンコルド広場までの1キロメートルほどの、シャンゼリーゼ公園の並木道に、真っ白の山小屋風シャレが立ち並び、フランス各地からの地方物産、飲食屋台、射的屋台、メリーゴーラウンド、移動露天商が巡ってきて毎年末の縁日風景である。結構家族連れで人出が多く、夕方など、この辺りの地下鉄駅などは、超ラッシュ。年末の商店も年間売り上げの20%以上が、この1か月のクリスマスの贈り物の売り上げに掛かっているとあって、日の暮れるのが午後4時くらいからと、早いこの時期、イリュミネーションで商戦大合戦である。縁日移動露天商ではあるが、自分の出身地の、平常パリでは見られない食物、特産の小物、デコレーションなどあると、手が伸びてしまうらしい。不思議なくらいぞろぞろ集まって、旅行者も交じって結構な人出なのである。それに加わってシャンゼリーゼのこの辺り、大型の企画展覧会の目白押し、美術専門の関係者、愛好家なども、あれも見たい、これも欠かせぬで、パリの滞在期間中のスケジュールに、ウロウロするような盛況、音楽会、演劇、パーテイの招待と、全てが重なる季節なのである。

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