アルジェーの港
アルジェーの港
 

「何でもありのパリ」

 秋なので、すべて「サロン」と、フランス語で呼ばれる、商品見本市、博覧会、展覧会が盛んである。ヨーロッパの都市にとっては大産業であるから、パリ市にも市内、近郊数箇所に、大きな展示会用の施設や、スペースを持っている。そして、空く時間の無いくらい、数日単位で催しが、ぎっしりと開催され、専門業者やお客があつまる。あらゆるもの、全てありだが、珍しいのは真空管で音楽を再現する見本市なんていうのがあったりする。今では半導体オンリーだが、昔のステレオ音の良さの再現に、ノスタルジーを持つ人もいるのである。
 近年の大ヒットは、パリ・チョコレート見本市で、第一回目が1995年パリ・サンルイ島で、ある女性のアイディアで始まったが、大好評で第二回目が天幕の見本市会場となり、たまたま隣の天幕で美術のアンデパンダン展を開いていたが、こちらはガラガラなのに、チョコレートの方は長蛇の列で、試食が出来るので押しかけたのだった。今ではチョコレート見本市というと、毎年10万人の動員を数える大見本市に成長した。若い菓子職人さんにブームを呼び、チョコレートの有名店も市内各地に誕生、日本にまでも近年のブームとなって、一つの産業の振興を、左右しているのである。最近の大ヒットは、日本の漫画、この点だけは麻生首相も、決してぶれていたとは思えない。夏の始めに開かれる「ジャパン・エックスポ」と呼ぶ、漫画とコスプレ、日本のヤングカルチャー見本市は、4日間の会期に15万人のゼネレーションを集め、今では年中あちこちで、似たような人集めの企画が日常である。
 今週はあるパリ市の見本市会場で、美術の「サロン・ドートンヌ展」が開かれるが、こちらは20世紀初頭からの伝統ある有名展覧会だが、その前の週同じ会場で、第1回目「離婚見本市」が始まっていたのを知って、びっくりした。離婚も多いので、いろいろな問題が関連して、旅行業などと同じように、ノウハウが産業になる時代らしい。
 他にも今週、日本の禅宗のお坊さんが、パリのカトリックの教会堂で読経コンサートを開いて、禅宗の宣伝キャンペーン、日本の武士道大会の日、パリは何でもありの季節である。

2009年11月12日 赤木 曠児郎  
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