カンブロンヌ通り
カンブロンヌ通り
 

「家業」

 日本大使館から、在外選挙の案内が送られてくる。日本から来る週刊誌など、選挙ニュースの読み物で埋まっているが、若い人にも今度のような日本の政治を変えるのに、一票の投票が生きる、こんな有効で簡単な選挙は無いように思える。
 もう数年前、フランス人の政治学者から教えられたことだが、日本の代議士には、二世、三世、政治家が家業になっている代議士が三割以上あって、外国から見ると異常に多いのだそうである。わたくしたちには、経験者が経験を生かして有効に働いて、よい事のように思っていたのだが、こちらの専門家には、異常と映っていたのだった。フランス政界で問題なのは、兼任の認められていることで、大臣で市長、代議士もとあれこれ幾つも兼任ができるのである。地方の殿様のような大ボスが存在することになる。何とか規制して改めようとするのだが、これは中々手放さなくて、問題視されている。家業となって二代、三代続くのも、結局は地方を縄張り化しているわけで、家業を励み、利権をむさぼるから繁栄する、優秀な跡継ぎということになる。他人のために理想に尽くして奔走して、すってんてんの裸に、財産をすりつぶしてしまうのでは、よい跡継ぎではない道理。民主主義の先進国では、さすが二世、三世は避けるのだそうである。アメリカでも、二代目ブッシュ大統領の批判が起こっているが、ごく最近のことである。

BACK NEXT

page2/3