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「初夏」 この祭日や飛び休日の続くのを利用して、海岸の港町でも、アルザス地方の古い民家の残る村々でも、観光名所は人々のむれ、地方からの団体観光バスで溢れている。レストランも、カッフェのテラスも、美術館も、教会堂も、どこに世界の金融経済危機や、不況があるのだろうと信じられないくらい。日常の仕事から解放されて、みんな幸せそうに人で溢れ、ワインやビール(運転する人にはお気の毒だが)、太陽一杯の青空と、緑の空気を満喫している。わが町内の印刷屋のお内儀さんとばったりと海岸の港町で出会って、「四日間来てるんだ」と顔を日焼けして真っ赤にしているし、「僕は美術館の用事できて、すぐ帰るんだ」、「残念ね」 とわかれた。同じ建物に住んで、もう隠退している顔見知りと、カジノに日帰りで遊びに時々来るんだと出会ったり、パリから300キロも離れた、思いもかけないところで、知った顔に会う。みんな政府の保障する年金とか、助成金制度で安心しているのである。
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