「イースター・バカンス」
世界金融不安とかで、景気の動向が心配され、そんなニュースばかり溢れるなか、どうしてフランス庶民は落ち着いていられるのか不思議なのだが、やはり政府の主催保障する、年金や手当ての社会保険制度が確立され、それで生活設計が立てられているから、お国にまかせて、われ関せず、それぞれが自分のパターンを守っているのだと思う。失業、老後、即=生活不安とはならないのである。
いろいろな組合の連帯で守られていて、首都のパリは、生活レベルを守るためのデモも、年中盛んな町である。声高ではあっても、荒れていても、バカンスがくると、これはまた別でさっさと出かけて、自然静かに落ち着いてしまう。それからまた日常にもどると、デモ集会の繰り返し。デモは自分の意志や意見の表明であるから、これを押さえたり、抑圧すると、もっともっと始末が悪くなるのを知っているし、一方は言うだけ言って発散すると休みに行ってしまうのだから、どちらもどちらである。政治家も、政府も、約束すると、金を集めてはばらまくのだから、結局はまた今年も、不動産税や市民税は、昨年よりパリで12%の値上がり決定。フランス全土平均だと、不動産税25%、市民税20%強のアップで強烈、地方の都市によっては、大変にきつい事になる。
何でも改革案が出されると、自分のことになるとこの国では、まず反対するのがスタイル。春先、教育制度改革に反対して、パリの学生街が荒れて、真っ黒のプラスチック板で作られた、日本の甲冑の肩当や膝当てまるでゴールドラックの漫画から出てきたとしか思えない装束の、大きな体格の警備隊員が大学の入口を囲んで守り、一人ずつ身分証明書を出させては通して校内に入れている。夕方になると自動車大隊が整列して引き上げてゆく。関係のない市民は、われ関せずと日常生活を守られているわけだが、厳めしいものである。
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