サンス屋敷(2)
サンス屋敷(2)
 

「つれづれなるままに」

 いまの日本の発信は、漫画文化である。昔、過去において日本人はキモノの美しさを発見した。キモノを外国人の体形に着せても、表情がなく、ストンとして決して美しい物ではない。
 洋装は日本に入って一世紀近い歴史を持つ。背低く、胴長、短足、曲がり脚の、日本の若い女性たちが、物まねを脱して、やっと近頃自分たちの着こなし方とバランスを、発見したのだと思う。
 先月フランス人の団体で日本に行って、東京原宿の竹下通り、大阪の道頓堀、若者の集団の姿に美しさがあるのを見せ付けられた。漫画の人物は3頭身、4頭身で登場する。これを堂々と、ミニスカート、黒靴下、ヘアースタイル、コスプレなどで取り入れて、様や形になっている。背の高い、脚の真っ直ぐで、長い外国人が着ても、逆に味気なくて美しさが出てこないで、場違いなのである。かえって面白い風景、風俗だと、外国人が喜んで撮影して、Tシャツ買ったり、離れたがらない。1960年代、ロンドンのカーナビーストリートから、モズルックやパンクが起こって、世界のモードを変えたが、いまは日本にあるのだとつくづく思わされた。
 パリのオートクチュールコレクション週間に重なるように、第9回目ジャパン・エキスポ見本市がパリ郊外で開かれたが、4日間で8万人くらいの予測のところ、12万人が押しかけ、入るのに長蛇の列で人々を驚かせた。漫画、ゲーム、コスプレが、フランスの若者を集めたのである。

2008年8月7日 赤木 曠児郎  
BACK  

page3/3