サンマルタン運河で
サンマルタン運河で
 

「つれづれなるままに」

 出る時は華々しいが、退くときはひっそりとしている。KDDがパリでの日本語のサーバーを撤退するというので、新しいアドレスを探せと、一方的な通知である。それならNTTがあったはずだといったら、もうとっくに撤退してやめていた。それでフランスの二年ほど前に華々しく出来て、話題だったところに連絡したら、もう別の新会社に合併されていた。こんなITの世界は私には分からないのである。とにかくKDDもNTTも、どんどん進むフランスでの競争に、太刀打ち出来ないで負けたと、理解するしか仕方ない。世界における日本語の拠点が、また一つ失われたということを、無念に思うのである。
 パリ、デファンス地区にある新凱旋門の、エレベーターで昇った屋上に、大ホールがあって、レストランやギャラリー、エッフェル塔とはまた違ったパリの眺望が楽しめる。ここに今年の春から、コンピューター博物館が開設されている。1945年の初期のアメリカ軍開発の、一部屋分もあるような器械から、現代のポーターブルまで、情報機器の変遷は目まぐるしい。世界で2番目、ヨーロッパでも最初の、珍しい博物館なのだそうだが、原理発見、発明は西欧にあって、日本からの発信はソニーのウォークマンの一号機だけがならんでいた。ワーッと大勢で飛び付いて、改良と製造が、やっぱり日本流のパターンなのかなと考えさせられる。これでは世界で尊敬されることは、絶対にないだろうが。

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