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「バカンス」 夕方まで時間があるので、折角この砂浜海岸に来たのだから、利用しなければと泳ぎに行く。ヨーロッパ最大の砂浜だそうで、12キロにわたり、3つの市にまたがり、はるか向こうまで双眼鏡を出さなくてはハッキリしないくらいに続き、人影が一杯である。遠浅の水に入ると、海水と泥の入り混じった、ガンジス河でもこんなのかと思うくらい泥水である。横綱にでもなれそうなと思えるくらいの、豊満な体格のヨーロッパ人の若い娘たちが、4人、5人と仲間でバカンス地に来て、ビキニの膝小僧くらいの水深のところを、太陽いっぱいにあたりながら右に左に、左から右に、見せびらかしながら、よきボーイフレンド探しも明瞭に闊歩している。水泳に来てるのかと思ったら、泳いでいる人はほんの少数派で、家族の群れ、手を組んだ恋人、体の半分位のところでバチャバチャ、暖かくなく、冷たくもないところで戯れているのだ。それでこね回された泥水なわけである。青い海水は、朝一番に来なさいと言われる。もっとも多いのは砂浜にバスタオルを直接敷いて、一日中何もせず、巨大な体の肉団子の甲羅干ししている人たちで、ビッシリと埋まっている。
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