プチ・ペール通り
 

「封筒騒ぎ」

 三週間たっても封筒は来ないし、また印刷屋に寄ってみたら、丁度、有名な昔からの大封筒メーカーの外注員が注文取りに来ていて、「もうEメールや携帯電話の全盛の時代で、個人通信に手紙など使う人がドンドン減って、高級品は殆ど市場から消えて、郵便局までが商売の競争相手。その上に全部人件費の安い中国製になって、あちらに注文して取り寄せていて、二重封筒、航空郵便の封筒はもう扱っていません」と、昔の手内職の代表のような封筒貼りもフランスでは無くなっているらしい。驚いて、そんな時代かと年賀状も頂いたお返事だけで一杯、書く勇気を失ってしまった。
 三年前、東京の下町で雨に降られて、箱崎エアターミナル隣り水天宮さんの近く、道路脇小さな文具屋さんの店先に、雨傘が売られていて、飛び込んで買ったが、ついでに思い出して鉛筆も買おうと探したが、筆記用具の場所に見つからないので主人にたずねたら「もう鉛筆は長いこと置いてませんね、売れませんから無いですよ、随分になりますね」と言われて、文房具屋に鉛筆を置かない時代かと大ショックだったが、昔は何処にでもあった、いろいろ凝った封筒も、もはや別注オーダー、骨董コレクションの時代らしい、大事にしよう。

2006年2月2日 赤木 曠児郎  
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